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【小論】不満のちから

 人間はいかに我儘な生物であるか。夏になると暑いと言い、冬になれば寒いと不満を述べる。空腹さを訴えたと思ったら、食べ過ぎて苦しいと叫ぶ。彼らが不満を言わない日が、これまで一日でもあっただろうか。人間は永久の不満の中で、幸福を探求し続ける存在であるようだ。

 しかしながら、不満を卑下してはならない。およそ、発明と言うものは人間の不満から創造されてきた。夏の暑さから解放された冬に不満を抑えていたなら、クーラーという最高の発明は生まれなかったであろう。不満を持ち続ける限り、発明は停止しないのである。

 思うに、不満の利点は発明に留まらない。人生においても不満のちからは絶大だ。現状に対する不満は、その打開策を我々に提示し、人間はそれを経験することで成長する。不満は向上心に等しいものなのだ。
 過剰な心理的抑圧を危険視したフロイトの議論は、ここにおいても別の側面から正当化されるだろう。