Le journal pour moi

文章力向上のためのブログ

【小論】宙に浮く保険金

 宙に浮く保険金の問題は様々な観点から論じる余地がある。保険会社からの通知が詐欺と間違われるという、現代ならではの防犯意識向上の弊害、親族間で保険の存在が伝えられていないという個人主義の影響等、どの話題を論じても面白そうだ。
 そんな中で最も気になるのは、保険契約者(保険金受取人)に対する保険会社の誠実な対応だ。保険法95条によれば、保険金請求権の消滅時効は3年である。しかしながら今回の事案では、たとえ時効期間が経過していても、会社独自に受取人を調査し、保険金の支払いを行っているようだ。また、本来保険給付の請求があってから保険金の支払いを行うが、今回は会社の側から支払いを通知している。
 やらしい話だが、もし保険給付の請求がなく、時効消滅してしまえば、当然会社に利するだろう。それをマスメディアや世論による指摘なしに、自ら問題視して対処している点は評価できる。純粋に信義誠実に基づいた対応なのか、それとも今後マスコミに指摘されると踏んだのか、もしくは、運営に経済的な余裕があることの表れなのだろうか。