Le journal pour moi

文章力向上のためのブログ

自民党の今

  特定秘密保護法増税集団的自衛権の行使容認など、近年安倍政権は次々に物議を醸す政策を実行に移し、見事に成功させている。これについて不満を持つ国民は少なくないであろう。そして、自民党の「暴走」をこのままにしておけない、何とかできないのか、と憤る人々もいるに違いない。
  政治の仕組みからすれば、この解決は簡単だ。次の総選挙で自民党を政権から引き摺り下ろせば良い。それが民主制の正しい道筋で、国民は何も悲観する必要はない。こんなことになるなら自民党に投票しなければ良かった、自民党に投票した自分にも責任がある、と有権者の地位にある自らを責める必要はないのである。有権者として自民党政権の業績を冷静に判断し、次の投票でその判断を活かすことで、たとえデモ等に参加しなくても、充分民主制を支える一国民になり得るのである。
  蓋し、今の自民党に「暴走」という言葉を当ててしまうのは致し方ない。自民党は衆参で多数を占め、連立を組むことで法案の通過を可能にしている。また、次の選挙は任期通りにいけば2016年の衆参ダブル選挙でまだ時期的に余裕がある。いやむしろ、選挙が見えてくると思い切った政策が打ち出せなくなるため、今が絶好のチャンスなのである。エレクションタイミングが迫っていない今のうちに、やりたい政策を続けざまに打ち出す、これは実に合理的で政治制度上当然の結果ではなかろうか。「暴走」だ何だと言われようが、のろのろ政策を進めていれば選挙が迫ってくるため、この時期にやりたいことをやって当然であろう。
  以上のように、ここまでの話では、日本の今の民主制に重大な瑕疵があるとは思わない。もちろん、集団的自衛権解釈改憲は議論を呼ぶところであり、筆者も反対の姿勢を示さざるを得ないが、次期選挙で自民党が多くの支持を失い政権から引き摺り下ろされれば、一応は民主制原理が保たれるのだ。
  しかしながら、ここで重大な問題が生じる。果たして自民党が政権を失うことがあり得るのか。言い換えれば、自民党に変わって政権を担える政党が存在するのかである。日本は二大政党制を有するとされるが、その民主党は前回の政権で大きな失敗をした。第三党を狙っていた日本維新の会は分党することになり、みんなの党渡辺喜美氏の不祥事で大打撃をくらった。こうなると、今の政権で自民党がどれだけ横暴をふるっても、政権交代の可能性が小さく、選挙でもってしても国民の真を問えない状況が存在しているのだ。「暴走」真最中の今、解散総選挙をしたとしても、自民党に何の影響もない、むしろより多数の議席を得られる可能性もあるのである。
  これらのことを考えると、民主制の重要な要素として、第二党、第三党の存在が挙げられるだろう。国民はそれらも見据えた投票をする必要があるのではないか。また、選挙間近になって、政権与党がポピュリズム的な政権を打ち出してきても、まんまとその策略に引っかかってはならない。何が正しいかという判断はもちろん各有権者にあって然るべきだが、政権の業績を「覚えておく」ことも民主制の重要な要素ではなかろうか。